唐草(からくさ)
唐草模様の特徴と魅力
唐草(からくさ)模様は、草や蔓が絡み合いながら美しい曲線を描いた文様です。
直線を使わずに曲線のみで構成されているため、全体的に柔らかい雰囲気がありますが、途切れることなく無限に伸びる曲線からは強い生命力を感じることができます。
その点から、唐草文様は長寿とか繁栄の意味があり、とても縁起が良い模様だと考えられています。
唐草模様を見ると、日本人の多くは泥棒をイメージするかもしれません。
これには、時代的な背景が大きく関係しています。
この文様は日本においても古くから縁起が良い柄だとされており、風呂敷の模様として多く用いられていました。
江戸時代に入ると、各家庭に1枚は唐草模様の風呂敷があったと言っても過言ではないほど広く普及していた柄でした。
そのため、泥棒が各家庭に入るとまずは唐草模様の風呂敷を探し、そこに盗品を包んで逃げ出すことが多かったのです。
唐草模様を見て泥棒をイメージするのは、そうした姿を描いた作品によるところだと考えることができるでしょう。
唐草模様の由来やモデルは?
日本の伝統文様というと、中国から伝来したものが多く見られます。
しかし唐草文様に関しては、由来は古代ギリシャまで遡ります。
古代ギリシャの遺跡から神殿の円柱などに刻まれた唐草文様が発見されており、そこからシルクロードを経由して中国へ伝来し、そこから日本へ伝わったと考えられます。
古代ギリシャを起源としている文様のため、唐草文様はアラブ諸国やヨーロッパ諸国などでも目にすることができます。
唐草のことをヨーロッパではアラベスク模様と呼び、デザインは西洋風にアレンジされていますが、基本となるデザインは唐草模様とよく似ており、もともとは同じ模様だったことが想定できます。
古代エジプト文明においても、唐草模様を彷彿とさせるタンオカという模様があります。
こちらは復活をイメージした模様で、古代エジプトの代表的な花であるタンググラスが蔓を四方に伸ばしながら美しい模様を作り上げています。
古代ローマでは植物はタンジェリン(オレンジ)をモチーフにしていたり、日本に伝来してからは蓮をモチーフにするなど、何をモデルとするかという点については各時代やロケーションによってアレンジされてきました。
唐草の利用シーン
唐草模様は、世界中のいろいろなシーンで活躍しています。
日本においては、風呂敷などの和風アイテムだけでなくカーテンや布団などのデザインに使われていたり、靴などのファッションアイテムにも使われています。
多種多様な素材で様々なシーンに登場するこの模様は、日本人の私たちにとっては馴染みのある柄だと言えるのではないでしょうか。