鹿の子(かのこ)
鹿の子の特徴と魅力
日本の伝統文様の一つである鹿の子(かのこ)模様は、小鹿の背中についている白い斑点をかわいらしくデザインとして仕上げた和柄です。
子供の着物柄としてよく知られていますが、大人の着物でも振袖や訪問着などに多く用いられています。
中でも「鹿の子絞り」と呼ばれる絞り染めはこの和風模様で人気の製造方法で、染めながら立体感を演出できる他、手間をかけて染め上げる点から高級布などに多く用いられてきました。
江戸時代においては、この製法で染めた鹿の子模様はとても贅沢な品だと考えられていて、奢侈禁止令の対象品となったほどです。
鹿の子模様の製法は、鹿の子絞り染だけではありません。
他にも型染のひった絞などは有名で、こちらは現在では京都の伝統製法となっています。
どの染め方でも、鹿の子文様は季節を選ばず年間を通して着ることができます。
和風柄の中には季節を選ぶ柄もありますが、鹿の子はどの季節に着てもマナー違反や珍妙な雰囲気になってしまう心配がありません。
この点もまた、鹿の子柄の魅力と言えます。
鹿の子模様の由来は?何をモデルにしている?
日本の歴史において鹿は神様からの使いだと考えられており、社寺では手厚く保護されてきました。
現在でも、春日大社や鹿島神宮など鹿を手厚く保護している社寺は数多くあり、鹿はとても縁起が良い動物だと考えられています。
この鹿という動物をモデルとしたのが、鹿の子模様なのです。
鹿は、繁殖力と生命力が強い動物です。
その点から、鹿をモチーフにした鹿の子模様は子孫繁栄や長寿と言った意味があり、とても縁起の良いと考えられています。
和風文様の多くは、中国から伝来したものが一般的です。
しかし鹿の子模様については日本古来の模様の一つだと考えられており、古くは奈良時代を起源としています。
その後、江戸時代に入ってから多くの人の注目を集め、大きく発展しました。
鹿の子はどんな所で利用されている?
鹿の子模様は、着物のアクセントとして使われることが多い伝統文様です。
男女問わずに活用しやすい模様ですし、大人から子供まで幅広く使えます。
この模様を着物全体に施すスタイルも人気がありますが、帯や襦袢、また帯上げのみに使うという活用方法も人気があります。
着物以外にも、和柄のお財布やアクセサリーなどによく鹿の子模様が使われています。
染め上げる製法のため皮革製品に使われることは少なく、全般的に布製品に用いられることが多い和柄と言えます。
江戸時代に高級品という認定を受けた鹿の子絞り絞という製法は、現在では着物の柄として楽しむことができますが、小物などのアイテムに施されている鹿の子柄の場合には大半は型染となっています。