和紙について

無形文化遺産にも登録された和紙

ユネスコの無形文化遺産にも登録された日本の紙、和紙。日本に古くから伝わる製法で作られていますが、もともとは7世紀の初め頃に中国から伝わったものです。伝来当事は麻で作られていましたが、そのうちコウゾやミツマタ、ガンピなどから作られるようになりました。これらを手で漉いて作るのが和紙です。使われる原料となる植物は長い繊維を持っており、これらの繊維が漉くという作業によって絡まり合うため、非常に丈夫で長持ちするのが特徴です。

コウゾで作られた紙の繊維は約10ミリ、ミツマタやガンピは約5ミリの繊維が絡まり合っているといわれています。丈夫ですが軽く、ふんわりと柔らかい質感が特徴です。

和紙は流し漉きと呼ばれる製法によって作られています。この技術は奈良時代にはすでに確立されていました。当事の国家プロジェクトである仏教の普及を目的に、お経を書くための膨大な量の紙が必要でした。世界で最も古い印刷物といわれている「百万塔陀羅尼」は770年に作られましたが、これらのお経は百万部も刷られています。これだけ膨大な量の紙が用意できたのも、流し漉きの技法があったからだといわれています。

平安時代になると、和歌や物語の文化が生まれ、色鮮やかな紙や、金箔や銀箔を散らした紙など、さまざまなデザインのものが作られるようになりました。さらな江戸時代には、浮世絵やかわら版など、版画の技術が進歩したので、紙はとても身近なものになりました。

和紙は息をする紙

和紙の一番の魅力は、耐久性と柔軟性を兼ね備えた優れた品質だといえます。しかし、それだけではありません。

何ともいえない美しさも、和紙の魅力です。真っ白な障子の美しさは、日本ならではの魅力です。陽の光を優しく通す障子は、自然と共生する日本の心に通じます。このほかにも色とりどりの和紙や、さまざまなデザインの和紙など、それぞれに表情があります。現在は工場で作られる和紙が多いのですが、その源流である流し漉きの技法をしっかりと受け継ぎながら量産されています。この流し漉きの技法は、日本独自のものです。流し漉きとは植物性の粘液に紙の原料となる植物を混ぜ、漉き桁と呼ばれる道具を揺らしながら繊維を絡ませて作る方法のことをいいます。

これによって繊維が絡まり合い、強靭になります。また繊維の絡まり合いによって繊維ができるので、1枚の紙にさまざまな表情が生まれます。つまり、紙の質が均一ではなくなるわけです。これによって墨が乗りやすい、空気を通しやすい、陽の光や灯りを優しく通すなど、さまざまなメリットがあります。和紙が息をしている、温もりがあると表現されるのも、繊維の絡まり合いが生み出す魅力です。