豆絞(まめしぼり)
豆絞の特徴と魅力、何をモデルにしている?
伝統文様の一つである豆絞(まめしぼり)模様は、現代社会においては「水玉模様」と表現したほうが分かりやすい柄かもしれません。
基本形は白地の布に紺色で等間隔の水玉が並んでおり、和風の手ぬぐいなどによく施されている柄です。
白地に紺色の水玉が定番ですが、色をアレンジしたものもあります。
この豆絞文様のことを、「手ぬぐい模様」と記憶している人は少なくありません。
しかし、豆絞が手ぬぐい模様というわけではなく、和風の手ぬぐいに豆絞柄が多く使われているということです。
豆絞模様は、絞染によってつくられる文様です。
この染めあげる作業は一つ一つ手作業で行う必要があったため、そこから豆絞と呼ばれるようになったのです。
小さな豆の数だけ無限に絞り染を続ける作業から、子孫が無限に増え続けるという子孫繁栄の意味となり、とても縁起が良い和柄だと考えられています。
また無数の豆が目玉のように見えることから、災いを寄せ付けない厄除けという意味もあります。
手ぬぐいのように身につけておくと、無病息災のご利益があるのです。
豆絞模様の由来
伝統文様の中には、中国大陸から伝来した柄がたくさんあります。
しかし豆絞文様に関しては、日本文化の中で誕生して発展した柄だと言えるでしょう。
誕生したのは江戸時代と言われており、中でも町人文化の中で発展した庶民的な模様として知られています。
一つ一つの水玉を絞りながら染めるため、製法という点においてはとても手間がかかります。
しかし華美な雰囲気はなく、武士に愛される豪華絢爛な模様というよりは庶民にピッタリの模様といえるでしょう。
江戸時代においては庶民に高い人気があった模様で、祭りなどの縁起が良い祝い事のシーンにおいては、欠かすことができない柄として活用されてきました。
現在では、当時のように一つ一つの柄を絞って染め上げるという製法はほとんどありません。
多くの場合には、豆絞柄の型をプリントして染める手法を取っています。
豆絞模様はどんなシーンで活用されている?
和柄としての豆絞文様は、現在でも和風の手ぬぐいや浴衣などに多く用いられています。
特定の季節でなければ使えないというルールはありませんが、比較的冬よりも夏に活用されやすい柄と言えるでしょう。
華美な雰囲気がないため、伝統文様の中では比較的アレンジされることが少ない模様かもしれません。
着物の柄や和風小物などに使われることはあるものの、あまり一般的ではなく、現在でも手ぬぐいや浴衣の模様として使われるのが大半です。
素朴さを感じられる和柄を探している人にとっては、豆絞文様は昌にピッタリの伝統文様と言えるかもしれません。