市松文様
1 min read2色の四角形が並ぶ「市松模様」
市松模様とは2色の四角形を互い違いに並べた、格子柄のことをいいます。
日本の伝統柄の一つですが、海外でもこの模様は親しまれており、英語ではCheckered pattern(チェッカードパターン)と呼ばれています。
F1レースなどモータースポーツで使われる手旗信号の「チェッカーフラッグ」や、ボードゲームのチェスの碁盤模様などでおなじみです。
もともとは石畳模様などと呼ばれていたのですが、現在のように「市松模様」という名前が定着したのは江戸時代になってからです。
江戸時代の中期に活躍した歌舞伎役者に、佐野川市松という人がいました。
この人が1741年に「心中万年草(高野山心中)」という芝居で小姓の粂之助役で出演したときに、白と紺の正方形を互い違いに配した模様の袴を舞台衣装に用いました。
この袴の柄が大人気となり、一世を風靡したのが始まりです。
市松自身も、この柄をさまざまな舞台で愛用したということです。
当時の流行ファッションといえるでしょう。
歌舞伎役者の市松が好む柄であることから、人々は「市松模様」と呼ぶようになり、その名が現代にまで受け継がれています。
古代から愛される、洗練された柄
チェスの碁盤のように、違う色が互い違いに続く柄は、今もさまざまな場所で見かけます。
とてもシンプルで洗練された模様として和にも洋にもマッチするため、おしゃれ感度の高い人たちからも好まれる柄といえるでしょう。
例えば、有名ブランドのルイ・ヴィトンが1888年に発売し今も愛されている「ダミエ・ライン」は、濃茶と薄茶の市松模様となってなっています。
最先端のファッションやインテリアにも使われる市松模様ですが、実はとても古くから使われている伝統柄の一つです。
古墳時代の遺跡である生出塚から出土した埴輪の袴にも、市松模様が描かれてます。
市松文様は繁栄のシンボル
日本では市松模様は、2つの色が途切れることなくどこまでも連綿と続いていることから「繁栄」を意味する吉祥文様(縁起が良い柄)の1つとして愛されています。
子孫繁栄、将来へと開ける展望など、幸せが長く続くことを象徴する柄です。
市松模様は、2020東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムにも使われています。
野老朝雄氏の「組市松紋」が採用されましたが、これは市松模様を元に考案されたデザインです。
「つなげる」をテーマに、さまざまな国や地域の人たちが、国境を越えてスポーツを介して連帯し、多様性を大切にしながら調和する様子を市松模様に託して表現されています。
モダンなデザインでありながら、伝統ある縁起の良い市松模様ということです。
プレゼントにも、市松模様をあしらった品物は喜ばれるのではないでしょうか。