畳について
畳は日本独自の文化
日本の文化は中国から伝わったものが多いのですが、畳は中国から伝わったのではなく、日本独自の文化です。古事記にも畳の記述が見られるほど古くからありますが、当事の畳は現在のように床材として使われるのではなく、むしろやござなどの薄い敷物を重ねたものではないかと考えられています。当事は使わないときは畳んで片付けていたことから、タタム→タタミと呼ばれるようになったとも推測されています。
現在の畳に近いものが登場したのは平安時代です。板敷の床に寝具や座具として畳を置いて使っていました。しかし高貴な身分の人や、お客様をもてなすためのもので、庶民には普及していません。また、使う人の身分によって、畳の厚みや縁に使われる布の模様や色が違っていました。
その後、鎌倉時代から室町時代にかけ、書院造の建築様式が誕生し、床材として畳を敷きつめるようになりました。しかし、この時代でも、畳は貴族などの高貴な人や、金持ちの武士などが使っていました。桃山時代から数奇屋造り家屋や茶道の流行によって畳が普及し、少しずつ庶民にも広まっていきました。広く庶民に普及したのは、江戸時代の中頃からです。主に町に暮らす人たちに普及し、農村にまで畳が普及したのは明治時代になってからといわれています。
畳は理想的な床材
古くから家屋の床材として使われてきた畳ですが、1990年ごろからフローリングが普及し、和室が減ったために畳の需要が低下しました。しかし、フローリングにはない畳の魅力がたくさんあるため、再び畳が脚光が浴びています。
フローリングでは部屋が寒い、音が響く、直接床に座るのに向かないなどのデメリットがありますが、畳にはこれらの弱点を補うメリットがあります。
まず、優れた断熱性と保湿性があります。厚みのある畳には、空気がたくさん詰まっており、その空気が熱を伝えにくくしています。このため冬場は冷たい空気を室内に通さず、熱を逃しません。この効果は、羽毛布団と同様で、心地よい暖かさを保ちます。
冬場は暖かいのですが、夏場は涼しいのも畳の魅力です。畳にはイグサが使われていますが、イグサがスポンジの役割をして湿気を吸い取ります。吸収した湿気は畳のなかの空気が追い出します。つまり、畳は呼吸をしているのです。一畳当たりの吸湿量は約500ミリリットル。高温多湿の日本の夏に最も適した床材なのです。
また、弾力性があり座っても寝転がっても心地よく、いぐさの香りにもリラックス効果があります。さらに吸音効果と遮音効果がありますから、物音も気になりません。
このように畳は、床材として非常に優秀なのです。和室に触れることが少なくなってきましたが、畳の魅力を再認識してみませんか。最近ではフローリングに置ける畳などの製品も登場しています。ぜひチェックしてみてください。