俳句・短歌
伝統ある日本の定型詩
短歌や俳句は、古くより日本に伝わる定型詩です。その歴史は大変古く、平安時代には貴族のたしなみとして短歌が詠まれ、非常にたくさんの美しい短歌が残されています。
定型詩ということで、文字数が決められていて、その中で季節の移ろいや詠み手の心などを表現する、大変高度な詩となっています。
短歌と俳句は混同されがちですが、いくつもの違いがあり、それぞれ定まった規則が設けられています。
どちらもとても奥が深いものですし、大きな魅力を持っていますので、現代でも大勢の人が短歌と俳句を楽しんでいます。
俳句の特徴
俳句は、短歌より短い定型詩で、五・七・五、合計で17文字を使って作ります。
俳句の最大の特徴は、季語を入れる必要があるということで、季節と何らかの関わりがある内容となります。
季語は歳時記と呼ばれる、季節ごとのふさわしい言葉を集めた書物の中にあるものを使用します。
こうしたことから、どちらかと言うと俳句は、季節の移り変わりや自然の様子を描くものが多く、情景を思い浮かべやすい内容がたくさんあります。
もちろん、人の心や人生について表現したものもありますが、自然についての表現と比べると少数派です。
文字数が少ない分、気軽に作ることができるということもあり、学校教育の中でも俳句を作る授業があります。
季節の変化をとらえる心は日本人の文化に根ざしたものですので、日本文化を学ぶのにもってこいの教材だと言えるでしょう。
短歌の特徴
一方、短歌は俳句より長い詩となり、五・七・五・七・七、合計31文字が用いられます。
俳句と違って季語を入れる必要がなく、基本的にはどんな内容でも作ることができます。
そのため、人の心を表現したものが多く、恋愛や別離、人の喜びや悲しみなどをテーマにした短歌がたくさんあります。
季語を入れる必要はありませんが、もちろん季節を題材にした短歌もたくさんあり、花や植物の様子と人の心の状態を巧みに結びつける奥の深い歌も詠まれています。
平安時代には、貴族による短歌が非常に多く詠まれ、現代にも万葉集などの形で伝えられています。
短歌も俳句も文字数などの基本的な形は変わっていませんが、時代とともに文体やテーマなどが変化してきました。
昔のように現代では短歌や俳句は詠まれることがありませんが、現代の情勢に合った新しいタイプのものも生まれています。
また、優れた日本文化の1つとして、外国国に翻訳して世界に紹介する動きも見られますし、日本文化を再び見直そうとする人々によって、その良さが認識されています。
日本人の心を上手に、そして的確に表現している短歌や俳句を読むことで、豊かな心を育む機会ともなりますので、名作に触れてみるのも良いでしょう。