日本の行事・記念日の歴史や過ごし方をまとめました!

ウナギを食べるようになった「夏の土用」

土用の丑の日は、陰陽五行思想の暦の日にち

夏になると、スタミナをつけるために「土用の丑の日」にウナギを食べると良いといわれています。
土用とは正しくは土旺用事といい、中国で生まれた「陰陽五行思想」によって決められた季節の名称の一つです。
土旺用事は「土の力が旺盛になり、用事をする(働く)時節」のことなのです。

陰陽五行思想では世界は、木・火・土・金・水の5つのエレメントから構成されていると考えられており、これを五行といいます。
そして木は春、火は夏、金は秋、水は冬を表します。
土は春夏秋冬にかかわらず、季節の変わり目を表すエレメントであり、夏だけとは限りません。
立夏、立秋、立冬、立春に至る前のおよそ18日の期間を指します。
しかし現在では土用というと、夏の土用(例年7月20日~8月7日頃)を指すことが多くなりました。

丑の日も、陰陽五行思想に由来します。
この思想に基づく暦では、一年のそれぞれの日に、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二支が当てはめられています。
そして、土用の期間中の丑に当たる日が、土用の丑の日と呼ばれているのです。

昔からウナギを食べると良いといわれる「土用の丑の日」は、夏の土用のうちの、丑の日ということになります。
例えば2021年・夏の、土用の丑の日は7月28日です。

平賀源内が広めたウナギの日!?

土用の丑の日にウナギを食べるようになったのは、江戸時代の中期に活躍した平賀源内の発案によるものだと伝えられています。
平賀源内は発明家、医師、実業家、戯作者などさまざまな分野で活躍したマルチな才能の持ち主です。
あるとき、夏になると人々があっさりとしたものを好むため、うなぎの売れ行きが落ちて困っていた鰻屋のご主人が、「何とか夏にもウナギが売れる方法はないものか」と、平賀源内に相談したそうです。
そこで、暑い夏を元気に過ごすためには栄養満点のウナギを食べるのが一番だとして、店頭に「本日、土用丑の日」と書いた貼り紙を出して宣伝すると良いとアドバイスしたそうです。

これが大ヒットして、土用の丑の日=ウナギを食べる日となったと伝えられています。
真偽のほどはわかりませんが、「本日、土用丑の日」のキャッチコピーは、現代においても人々の購買意欲をかき立てる、抜群の宣伝効果があるようです。

土用の丑の日の行事

夏の「土用の丑の日」は、ウナギを食べるだけではありません。
歴史をひもとくと、この日にはさまざまな行事が行われてきました。
例えばの、夏負けをしないようにお灸をすえたり、薬草を入れたお風呂に入る「丑湯」もこの日に行われました。

また、梅雨明けの日差しが強い時期であることから「土用の虫干し」といって、着物や本、掛け軸などを日にさらして湿気をとるのもこの時期です。
現在でも、この時期に虫干しをされるご家庭も多いのではないでしょうか。