盆栽
1 min read盆栽の歴史について
よく日本家屋の庭に飾られている盆栽は、日本の歴史と長く深い関係があります。
そもそも盆栽が誕生したのは1300年以上前と言われていて、古代中国の王子だった李賢のために、鉢の中で植物を育てたものを献上する壁画が残されています。
当時ではまだ盆栽という言葉はありませんでしたが、そこが起源だという説が有力です。
日本に盆栽が伝来したのは、約700年ほど前の鎌倉時代のことです。
当時の古い絵巻には、すでに盆栽が描かれています。
当時の盆栽はすでに現在私たちの多くがイメージする盆栽の形をしており、そこから現在まで多くの時代を経ても基本的な形を維持してきたと考えられます。
盆栽が多くの人に愛されて普及されるようになったのは、室町時代から江戸時代にかけてです。
当時は僧侶や将軍家など高貴な人たちの間で流行したもので、1603年にキリスト教の宣教師が残した書物にも、盆栽は「盆山」という名で登場します。
また当時描かれた屏風にも盆栽は数多く登場し、既に日本文化に根付いた存在であることがうかがえます。
この時期には、能などほかの日本の伝統文化の中にも盆栽が登場したり、絵画などにも多く見かけるようになりました。
中でも能の作品「鉢木」は、盆栽をテーマにした作品です。
落ちぶれた武士が宿がなく困る僧侶に寝場所を提供し、その際に寒さをしのぐ目的で大切な盆栽の木を焚火として使うといったストーリーで、現在でも人気の能作品です。
盆栽が庶民にも広がったのは、江戸時代に入ってからのことです。
江戸時代には長屋の庭で鉢に花を植えて育てるなど、庶民にとっても親しみやすい文化となりました。
明治時代になると、盆栽に特化した愛好家が増え、伝統文化の一つとしての地位を確立していきました。
夏目漱石は、虞美人草などの作品の中で盆栽が複数登場しますし、政財界の大物が暮らす邸宅には、見事な盆栽が飾られるようになったのです。
このことから盆栽が幅広い方向へアレンジされるようになり、和漢植物だけでなく西洋の花が植えられたり、西洋から温室という文化が入ってくるなど栽培環境や外観も多種多様となっていきました。
盆栽は世界のトレンドになるか?
盆栽は、現在ではBONSAIとして世界中に普及しています。
日本の外に目を向けて普及しようという動きは、実は大正時代から始まっており、当時は芸術としての盆栽を広めようと考えられていました。
盆栽を単なる園芸としてとらえるのではなく、彫刻や絵画と並ぶ芸術作品としてとらえるため、当時は美術館を使っての展覧会なども数多く開催されました。
現在でも、美術館を使った盆栽の展覧会は東京都美術館で毎年開催されています。
興味がある方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。